悪霊研究

分離派短詩作家髙鸞石のブログ

2023年に観た映画

S(必見)
吉原炎上
(近代日本とは何かを、吉原の遊女の生き様を通して描く、美しく激しい傑作。)
吉原炎上 [Blu-ray]
根津甚八
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
2021-03-10






ヒトラーのための虐殺会議
(ユダヤ人の処分を巡り様々な思惑が交差する。ある意味、内部分裂という視点から戦時ドイツを描いた意欲作でもある。)
ヒトラーのための虐殺会議
ファビアン・ブッシュ
2023-05-02






オー・ブラザー!
(原案はホメロスの『オデュッセイア』。うつ病の銀行強盗ジョージ・“ベビーフェイス”・ネルソンなどの脇役たちも躍動する囚人三人の珍道中はバカバカしく騒々しいが、神聖である。劇中歌が非常に素晴らしい。)
オー・ブラザー!
ホリー・ハンター
2021-05-07





A(見たほうがいい)
バービー
怪物(是枝裕和監督)
十二人の怒れる男 (ドラマ版・日本語字幕版)
グランド・ブダペスト・ホテル (吹替版)
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 (吹替版)
ペティコート作戦 (字幕版)
日本のいちばん長い日(岡本喜監督)
パルプ・フィクション (字幕版)
フェイブルマンズ (吹替版)
バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 (字幕版)
アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版(字幕版)
イージー★ライダー (字幕版)
バートン・フィンク (字幕版)
劇場アニメーション『犬王』
三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実
西鶴一代女
東京物語
黄色いリボン(字幕版)
荒野の決闘
アパッチ砦(字幕版)
駅馬車(日本語吹替版)
ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(吹替版)
雨月物語
ONE PIECE FILM RED
ボヘミアン・ラプソディ
ルパン三世 カリオストロの城
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
風の谷のナウシカ
もののけ姫
ノートルダムの鐘
ズートピア
君たちはどう生きるか
BLUE GIANT
インディ・ジョーンズ最後の聖戦

B(見なくてもいい)
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
ミラベルと魔法だらけの家
しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~
ヴァチカンのエクソシスト
レイダース/失われたアーク《聖櫃》
コーダ あいのうた
インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
RRR
かがみの孤城
シュガー・ラッシュ:オンライン (吹替版)
アントマン&ワスプ:クアントマニア (字幕)
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
対峙
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(吹替)
グリーンマイル (字幕版)
オットーという男
ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り
金の国 水の国
街のあかり (字幕版)
バーン・アフター・リーディング(吹替版)
1950 Part.2 水門橋決戦
ウエスタン (字幕版)
妖怪百物語
サマーフィルムにのって
戒厳令
クナシリ(字幕版)
1950 鋼の第7中隊
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (吹替版)
ジャンゴ 繋がれざる者 (吹替版)
シリアスマン (字幕版)
スモーキング・ハイ (字幕版)
ノーカントリー (字幕版)
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(字幕版)
ノマドランド (吹替版)
マグニフィセント・セブン
幌馬車(字幕版)
ブラザーフッド
スターリングラード
映画ドラえもん のび太と夢幻三剣士
グリーンマイル (字幕版)
オリエント急行殺人事件 (吹替版)
ベイビー・ブローカー(字幕版)
メタモルフォーゼの縁側
レジェンド&バタフライ
セブン (字幕版)
ネバーエンディング・ストーリー (字幕版)
スクール・オブ・ロック(吹替版)
ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(字幕版)
私のちいさなお葬式(字幕版)
グリーンブック(吹替版)
ケイコ 目を澄ませて
NOPE/ノープ(吹替版)
墨東奇譚
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(吹替版)
ロング・トレイル!(字幕版)
The Workers CupーW杯の裏側ー(字幕版)
シンドラーのリスト (吹替版)
インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(字幕版)
戦場のメリークリスマス

C(時間の無駄)
恋愛小説家
ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界 (吹替版)
シン・仮面ライダー
帯広ガストロノミー 帯広市開拓140年 市制施行90年記念長編作品
KAPPEI カッペイ
オールド・ジョイ
ゴジラ-1.0


くいものの景色 五 町中華


20230513_133202
 
 自分の住む町に、馴染みの町中華がある、ということの、精神的な安心感。これはなかなか馬鹿にならない。店の暖簾をくぐってから、会計時の店員とのちょっとした会話に至るまで、私は終始奇妙なほどの精神的安定をおぼえる。ひとしきり食べ終わって店を出ると、今日は悪い日ではない、といった気持ちになる。
 私は時間がないためにしょうがなく吉野家やマクドナルドで食事をするとき、自分自身が巨大な機械の一つの部品に過ぎないという感じがして、自分の人生がこれまでもこれからも、つまらないことばかりなのではないかという気がしてくる。しかし町中華ではそういった種類の孤独を感じることがない。それはなぜだろうか。
 私は、町中華とは第二第三の家庭ではないかと思う。家庭とは、不十分なものだ。十分で完璧な家庭というものはないし、あるように思えたとしても、それは本当に家庭であるかどうか。
 町中華は、不十分でかまわない。美しくなくてよいし、洗練されてなくてよいし、薄汚くてよいし、雑多でよい。
 傷んだ本棚に、「こち亀」(これは市民の安心安全を司る警察が主役だ)や「浦安鉄筋家族」(そう、まさしく「家族」なのだ)が巻数をところどころ無視して並べられている。床は拭かれているが、それでもとれないような汚れがあちこちにこびりついている。テーブルは古いが、使い古された卓上のフキンらしきものでひととおり拭かれてはいる。椅子はギシギシと音をたて今にもバラバラになりそうである。つま楊枝差しには、つまようじが卒塔婆のように乱雑に突き刺さっている。定番メニューが記載された、角の部分が欠けたプラスチックのメニュー表がこちらの様子を伺っている……と、周囲を観察していれば、給仕のおばちゃんが持ってきてくれたグラスには水と適当にかちわられた氷が放り込まれている。「いらっしゃいませ」の一言?そんなものはない。
 すべては不十分であるが、だからこそこの場は、親しみがあって孤独をかんじさせないような、擬似的な「家庭」として機能するのだ。
 バーミヤンなんか行ってみたまえ。小綺麗で接客も十分ではあるが、寸胴のようなロボットが料理を運んできてまるで「ブレードランナー」だ。寸胴ロボットに手を突っ込んでタンメンを取り出して自分の目の前に置いたとき、私は非常に屈辱を感じた。ほら持ってきてやったぞ、お前は一人でこれでも食ってろと言わんばかりではないか。頭がもやもやしてタンメン特有の炒めた野菜の香ばしさもなにも感じられなくなってくる。こんなもの、近未来の戦場のようではないか。家庭のやすらぎというものがない。チェーン系の中華だからまだ許せるが、町中華であのようなロボットが働くようになれば、それはこの国の終わりである。
 さて、町中華は、旅先や出先でふらりと訪れるよりかは、やはり自分が住む場所に近い店を根気強く訪ね歩いて、ここはという店を探しあて、そこに通いつめるのが良い。旅先で腹が減ったときに、なんとなくその土地の町中華を訪れても、味付けや麺の細さ、米の炊き方などは基本的にその土地の人々の味覚にあわせているから案外美味しく感じなかったりする。
 店選びについて、最終的には、その店の塩味の強弱が自分に合うかどうかで決まるという気がしている。それなりに食える味でも、自分にとって塩味が薄すぎたりしょっぱすぎたりすると、それだけで店主の好みと自分の味覚のズレか気になってしまい足が遠のく。
 そのへんの判断をつけるには、冷菜がいい。ラーメンやチャーハンを食べたくなるが、それらでは熱のせいで塩味の繊細なところをつかみ損ねる。ここで気持ちをぐっと抑えて、冷菜から攻めていくのである。
 
 ここで一つ、紹介したい料理がある。

20231118_140234

 これも冷菜の部類に入る料理だろう。これは白切鶏(パチカイ)という蒸した鶏にソースをかけた料理である。唐揚げなんかよりも鶏の旨味をダイレクトに感じられるのではないかと思う。柔らかく蒸された鶏の優しい塩味とそれを邪魔しないソースの組み合わせで、食えば食うほど腹が減る。紹興酒やビールにも合う。タンパク質がとれるからダイエット中の人にも良いだろう。チャーハンやラーメンや餃子では物足りず一品付け足したいが、しかし重い料理は食べきれないというときにはこれを注文することをお勧めしたい。

ג 三・四


PDFダウンロード



ג三・四_page-0001

여름-2023-(写真)

20230811_110126

20230811_160705

20230811_161110

20230811_161514

20230811_162148

20230812_051646

20230813_102630

20230813_102642

20230813_103413

20230813_103518

20230813_133115

20230813_133212

20230813_133235

20230812_052023
20230812_052626

20230812_052642

20230812_052811

20230812_130507

20230813_101349

20230813_102609

20230813_102624

20230813_133304

20230813_133339



20230812_051713


アーカイブ
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 累計:

プロフィール

髙 鸞石

分離派短詩作家
2012-2015年
早稲田大学俳句研究会に所属。
2015年
「海程」入会。
2018年
金子兜太の逝去に伴い「海程」退会。
2018年
「塔短歌会」入会。
2019年
「塔短歌会」退会。
2021年
竹柏会「心の花」入会。
同年、第5回群黎賞佐佐木定綱選者賞受賞。
2022年
選考委員の対馬康子氏、コーディネーターの筑紫磐井氏への抗議のため、第6回芝不器男俳句新人賞中村和弘奨励賞を辞退。

Twitter プロフィール
筆名は「高師直」「親鸞」「石川淳」からそれぞれ一字をとり、組み合わせました。 ブログ「悪霊研究」G氏賞と春殴会。俳句ではなく「短詩」。「俳句」は辞めた。
メッセージ

原稿依頼等はこちらへ

名前
メール
本文
作品掲載・発表等
2019
・俳句四季12月号「溶ける鯨」5句
・ネットプリント
「穢れた魂」18句
『誌』Vol.2「美と秩序」
2020
・詩客「殺戮の神」10句
・『俳句αあるふぁ』増刊号 遠藤若狭男の作家論と20句選
・We招待作品「壺乃牡蠣」15句
・ネットプリント
「痴霊記一」18句
「痴霊記二」18句
「痴霊記三」18句
「痴霊記四」18句
「東京虞輪」36句
「痴霊記五」18句
「痴霊記六」18句

2021
・『俳句αあるふぁ』2021年増刊号 忘れえぬ俳人たち 2020にて鍵和田秞子論と20句選
・『連衆』90号「加藤知子は何を書いてきたか」
・『We』掲載作品「白虎再起」10句
・ネットプリント
「時空糞一」18句
「時空糞二」18句
「時空糞三」18句
「時空糞四」18句

2022
「鉱物祭」 30首
「時空糞五」18句
「時空糞六」18句
「鹿縛り」 50句 
「琵琶法一」18句
「琵琶法二」18句
「琵琶法三」18句
2023
「琵琶法四」18句
「琵琶法五」18句
「琵琶法六」18句
「真経験一」18句
「真経験二」18句
「真経験三」18句
「真経験・天」(真経験一~三、54句)
「真経験四」18句
「真経験五」18句
「真経験六」18句
「真経験・地」(真経験四~六、54句)